事業化活動の主要経緯

1998年

1974年以来の構想を事業化すべく、開発会社として「北日本パイプライン開発機構株式会社(略称JPDO)」を設立。サハリン州政府及び国営企業と協議して本事業への協力要請。米国大企業グループと協議して本事業への協力要請。

1999年

北海道開発局、北海道通商産業局、北海道庁、ロシア連邦総領事館、米国総領事館等の後援により、世界のメジャーをはじめ内外政界、官界、財界、学界、報道界等が一堂に会して、「サハリン天然ガス導入日本パイプライン推進会議」を開催。以後、米国メジャーテキサコ社と共同で事業化調査を実施し、実施可能と結論。ロンドン国際会議にて本事業計画を発表。ロシア連邦燃料エネルギー省次官等ロシア側関係者に協力要請。国会議員会館で開催されたアジア・エネルギー共同体推進議員連盟総会にて本事業計画を発表。

2000年

米国テキサコ社幹部とともに北海道知事と会談し、日米共同で本事業を実施することについて協力要請。日・米・露を中心とする公開フォーラムにて内外関係者に協力要請。

2001年

米国ユナイテットテクノロジー社等とともにパイプライン建設詳細調査報告書を取りまとめ、関係各省庁及び自治体等に提出して事前協議開始。全道商工会議所大会にて北海道縦貫パイプライン早期実現推進が決議され、以後、毎年の大会で推進決議。

2002年

モスクワにてロシア連邦政府並びに国営ガスプロムグループ、国営ロスネフチグループ等と会談し、ロシア側のガス供給、パイプライン建設、本事業への参入等について基本合意。北海道議会において知事がパイプライン建設環境整備促進並びにパイプラインガス利用環境整備促進を表明。複数の市議会が推進意見書決議。

2003年

国会において関係省庁各大臣並びに経済産業省幹部がパイプライン支援措置を講じることを明言。民主党中心の超党派の国土幹線パイプライン建設推進議連が発足。自民党本部においてサハリン天然ガスパイプライン推進議連が発足。札幌にて議連会長を招いたサハリン天然ガスパイプライン推進全道大会を開催。

2004年

ユジノサハリンスクにてサハリン州行政府並びにロシア国営企業グループの協力によりサハリン・セミナーを開催。米国大使館及び札幌総領事館の幹部と協議し、首席公使が本事業への支援を表明。モスクワにおいて大統領特命全権代表と会談。ロシア国営企業ガスプロムグループ会社との間で、本事業を共同で進めることについて覚書を締結。

2005年

ロシア国営企業ガスプロムグループ会社と本事業実施に必要な包括的諸事項について合意書締結。日露パイプライン事業化調査に関する契約書を締結し、FS作業開始。日本側パイプラインについて国土交通省、経済産業省、関連自治体等の協力により具体的準備作業が進行。サハリン天然ガスパイプライン推進全道大会にて、自民・公明・民主の各政党代表が本事業推進を表明。

2006年

日露共同作業によるサハリン-北海道パイプライン事業化のエンジニアリング調査報告書、事業実施計画書等を添えて、ロシア連邦政府と許認可事前協議を開始。ロシア側のガス供給、パイプライン建設、事業参入、出資参加等について基本的了承を取り付け。モスクワの石油・ガス国際会議にてガスプロムグループ会社と共同でFS結果を発表。ロシア連邦政府との事前協議を経て、ガスプロム本体と詳細協議開始。経済産業省がパイプラインによる名寄天然ガス発電所について火力部会の審査を経て大臣勧告書を交付。

2007年

ガスプロムの関係各部門横断的幹部会にて、本事業を有望プロジェクトと結論。ロシア東方ガスプログラムが正式承認。ガスプロムとの間で詳細協議進行につき担当副社長との間で、秘密合意書締結。商号を「日本パイプライン株式会社(略称JPDO)」へと変更。

2008年

稚内から苫東までのパイプラインの建設関連手続業務本格化。北海道電力よりパイプラインによる苫東天然ガス発電所連系可能回答書受理。ロシア連邦政府がロシア国家政策である東方ガスプログラムに本事業を追加的プログラムとしてエントリー。ロシア連邦政府がサハリン3キリンスキーブロック等複数のガス田開発ライセンスをガスプロムに付与。ロシア連邦国会からの招請により、ロシア極東国際経済フォーラムにて本事業を発表。

2009年

ガスプロム本体の他に、ガスプロムグループ会社が参加して、実務的事項の調整を開始。ガスプロムがサハリン3キリンスキーブロックのボーリング調査を開始。

2010年

ロシア連邦政府が本事業計画を受理し、エネルギー省次官を中心としてガスプロムとの間で具体的協議開始。ガスプロムがサハリン3キリンスキー鉱区の本格的ボーリング調査を進行。北海道サハリン天然ガス導入促進委員会が発足し、政権与党及び政府に対して早期実施の要望活動を展開。

2011年

東日本大震災により、わが国エネルギー政策が根本から見直されることとなり、低コストのクリーンエネルギー確保と被災地復興の有力な手段として、本事業が各方面から注目。官邸内に「エネルギー・環境会議」が設置され、わが国の新しい革新的なエネルギー戦略の一つとして、全国規模の広域天然ガスパイプラインの整備方針並びにパイプライン建設に関する様々な規制の大幅な緩和が打ち出される。これらのことを受けて、サハリン-北海道-東北-関東の東日本天然ガスパイプライン計画を抜本的に再構築。

2012年

経済産業省が総合資源エネルギー調査会総合部会に天然ガスシフト基盤整備専門委員会を設置して、全国規模の広域天然ガスパイプラインを整備する際の基本的スキームについて検討し、整備方針を決定。日露政策会議(日本側:政権与党、ロシア側:国営ガスプロム)において日露パイプラインを双方で具体的に検討することで合意。これを受けて経済産業大臣が記者会見で本事業を党側とも協議しながら個別具体的に検討することを表明。ロシア側の招請により、JPDO社長がサハリン石油&ガス2012年大会で本事業のプレゼンテーションを実施。

2013年

自公政権の誕生により本事業の仕切り直しを行い、被災地復興・国土強靭化・産業経済成長・エネルギー再構築・日露連携強化等の主要国策との整合性調整。日露首脳会談等において日露エネルギー連携強化で基本合意し、特に天然ガスについては日露双方とも活発化。政権与党による日露天然ガスパイプライン推進議員連盟が発足。JPDO社長がこの議連の事務局参与に就任。以後、当議連を中心に検討会、ヒアリング、現地調査などを展開。

2014年

パイプライン推進議連が政府への提案書を取りまとめ、要請書とともに総会で決議し、これを官邸はもとより関係閣僚に提出。外務大臣、経済産業大臣も前向きに対応され、特に、経済産業大臣はこのパイプラインをLNG以外の一つの選択肢としてしっかり検討すると明言。その後、ウクライナ問題が突発して日露関係が停滞。

2015年

日露政府間協議が再開されたため、パイプライン推進議連は政府への協力要請書を決議し、これを官邸はもとより関係閣僚に提出。日本及びロシア側の政財界要人グループへ協力要請。JPDO内に本事業実施準備事務局を設置。プーチン大統領主催の「第1回東方経済フォーラム」にJPDO社長が招かれて参加。日露国際会議にてロシア側及び日本側から、日本への天然ガス輸送はLNGに比べてパイプラインの方が遥かに優位であることを客観的データに基づいて発表。

2016年

5月にソチで日露首脳会談が行われ、安倍首相からプーチン大統領に対して「対露経済協力8項目」を提案(この中で本事業と密接な関係がある「極東開発」及び「エネルギー」を明示)。9月にウラジオストクで「第2回東方経済フォーラム」が開催され、このフォーラムの大規模プロジェクト分科会のパネリストとして、JPDO社長が大統領府から招聘されて参加し、本事業を発表。連邦政府幹部と会談し、本事業を日露連携で進めることで基本合意。ロシア側要人及び日本側要人と懇談して本事業を内外にアピール。本フォーラム後、両国において経済協力8項目関連プロジェクトの具体化作業が加速化。JPDOも大手専門機関等の協力を得て具体的な事業実施関連作業を開始。この中で、パイプライン(線)とLNG(点)がネットワークでつながることにより、欧米と同様に双方が各々の利点を生かして共存共栄しながら国益に貢献できることを確認。12月に日本で日露首脳会談が行われ、10項目合意の中で本プロジェクトについて経済主体ベースで詳細の検討を活発化させることで合意。これと並行してロシア側経済主体のガスプロムの副社長を中心とする経営陣と、日本側経済主体調整責任者のJPDO社長を中心とするグループとで実務的事項について協議し、今後、事業実施に必要な詳細事項について連携して進めることで合意。

2017年

JPDOが大手専門機関等の客観的検証によりプレFSをまとめて、日本側及びロシア側へ提出。パイプライン推進議連が中心となった「日露天然ガスパイプライン推進フォーラム実行委員会(JPDOが事務局)」が立ち上げられ、4月に国会議員会館の国際会議室において、「第1回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催し、日露双方の政策グループ・専門家グループ及び内外有力企業グループ等が参加。モスクワでの日露首脳会談終了後の記者発表にて、プーチン大統領が本プロジェクトについて両首脳で協議したことを明言。8月にサハリンから日本への最初の上陸地域である北海道において「第2回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催し、北海道各界各地域の代表的機関グループが参加。9月にウラジオストクで「第3回東方経済フォーラム」が開催されて出席し、ロシア連邦政府幹部及びガスプロム幹部と個別会議を行い、本プロジェクトの詳細事項について協議。

2018年

北海道ブロックと首都圏ブロックとを結ぶ東北ブロックの理解と協力を求めるために、1月に宮城県において「第3回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催。これにより北海道・東北・首都圏の各ブロックにおいて、それぞれ地元の理解と協力を求めるためのフォーラムを開催して情報開示と詳細説明を行ったことで、内外事業会社・投融資機関等と連携して事業実施準備作業を始動。9月にウラジオストクで「第4回東方経済フォーラム」が開催されて出席し、総大会はもとより様々なセッションやレセプションにて多くの内外要人と交流して本事業へ協力要請。11月に北海道から本州へのパイプラインの上陸地点であり、本州の玄関口である青森県において「第4回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催。

2019年

3月には内閣官房所管の公益法人にて有力学者グループを中心とする『日露天然ガスパイプライン推進戦略検討会議』が発足し、この検討会議により6月には日露首脳会談に向けて官邸をはじめとする政府・与党幹部に緊急提言書を提出。他方、3月には未曽有の原発事故が起きた福島県において「第5回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催し、7月には本パイプラインの最初の実施地域である北海道において日露天然ガスパイプライン推進議員連盟事務局長による勉強会を、経済団体等を対象として開催。8月には東日本大震災から復興・再生の途上にある岩手県において「第6回日露天然ガスパイプライン推進フォーラム」を開催。9月にはロシア連邦政府主催の「第5回東方経済フォーラム」が開催されて出席し、内外要人と交流して本事業への更なる協力要請。11月には本パイプラインの本格的事業実施を進めるために、大手調査専門機関や大手施設整備専門機関等の協力により、個別具体的事業実施準備作業を開始。

2020年

年明け早々から表面化してきた新型コロナウイルスが、日本はもとより世界各地で同時多発的に感染爆発し、関係各国の国際空港が事実上閉鎖状態となるなど出入国が厳しく規制され、各国関係企業との間で必要な本プロジェクトについての直接的詰めの協議・手続が出来なくなり、事業実施国際コンソーシアムを予定通りに進めることが不可状態となったため、この世界的大流行が鎮静化されるまで本格的事業実施関連作業への着手を緊急的に保留措置。コロナ禍収束後には直ちに着手できるように、大手エンジニアリング会社や大手関係事業会社エキスパートグループ等とともに、幹線パイプラインの建設ルート選定・地区別工事方法・工事費概算等の分析・検証を実施し、また大手調査研究専門機関や大手関係事業会社エキスパートグループ等とともに、電力・ガスをはじめ様々な既存需要及び新規需要の分析・検証を実施。これらに加えてガス供給に関する分析、事業採算性に関する分析、事業実施環境整備に関する諸事項の分析等の様々な準備作業を実施。

2021年

前年に続いて世界中でコロナパニックは収まらず、本プロジェクトと密接に関連しているロシア・欧州・米国等の関係各国は、一日当たりの感染者が数十万人という状態が続き、ワクチン接種が進展しても新たに変異株が急拡大する状況が続いたため、本事業の国際コンソーシアムを組成する各国関係機関との対面的・直接的折衝による最終的調整も困難となり、更に秋以降にはコロナの変異株オミクロンが世界中で爆発的に拡大して、再び日本を含む世界各国がパニック状態に陥る。これらの状況にあっても関係各国のコロナ禍がある程度収束した段階では、直ちに本格的事業実施関連業務に着手できるように、不自由ながらも関係各国と可能な範囲でコミュニケーションをはかりながら、必要な準備作業を遂行。